<64> スクラッチ仕事を思いだした

ペン描きの「イギリス館?」をアップしおえたシャチョーは、いささかグッタリ、若さと元気を貰おう…心身に一鞭いれようと、先日、国立新美術館で「東京五美大卒業制作展」に。入場無料はシャチョーにとって、懐にも優しい一鞭くれたウレシナミダものであった。
細かい手作業を必要とする版画が各大学でかなり盛んなのに驚かされた。凸(木版)、凹(エッチング、スクラッチ)、シルクスクリーンや、気の遠くなるようなビュランを駆使しての小口木版(細密作業)大画面一杯に小口木版を敷詰めて構成して、見事一度刷りで表現した大画面作品など、見応えがありました。
久々にペン描き作業をしたシャチョーは、ふと、現役時代の細かい作業に明け暮れていた日々に想いを馳せた。その昔、白黒一色刷りの新聞や雑誌広告用に商品(高級食材や洋酒、機器類など多種多様)を写真では説明しにくいものなどを、メリハリをつけたスクラッチ画で表現することがママ行われ、必然的に要求されることが度々あった。
今も市販されているかどうか?スクラッチボード紙(台紙に石膏を塗布、表面を黒インクで覆った用紙)もありましたが、かなり高度な腕前がないと、当時の若造シャチョーごときには使いこなせない画材でした。
業界では点描やペン仕事で表現する人たちは、今も昔も大勢いらっしゃるが、スクラッチ画は近年あまり見かけなくなった。

嗚呼懐かしや君よ知るや若きシャチョーのスクラッチ画をお目に掛けようではないか。
紹介するクラシカルな味の図版6点は、一見、本格派のスクラッチ画に似せてはいるが、種を明かせば単純なペン画です。
墨汁で描いたり削ったりして形を表す「スクラッチ画もどき」を考案し稼ぎに繋げた人は駄画社々長以外に見当たるまい……?
削ると鮮明にシャープな白地がでる。しかも紙地を傷めない。塗ったり、削ったり、何度も繰返すことが可能な用紙がないものか?
手加減は必要だが、都合のいい紙があったのです。現在製造を続けているかどうか? 写真印画用の「バライタ」と呼ばれる感光乳化材塗布前の紙があったのです。
バライタ紙(厚紙に白土の如きものを厚く塗布)はシャチョーにとって扱いやすく、筆やペンで黒く描いたり、定規を当ててペン先型カッターで白く削りだしたり、やり過ぎた部分は再び黒くしたり、修正に白い絵具を使わなくていい便利な用紙でした。無論、一般的な版下作成にもひと際シャープ差を際立たせる用紙でした。
ナンダカンダと説明が小煩いですネー。作画したものを見てください。
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「帆船日本丸-中村庸夫写真集」1984 読売新聞社刊 の解説ページに掲載したものです。ブックデザインは多田進さん。駄画社々長(47〜8歳頃)は図版担当。左上よりセイル・ロッカー(フォア・マストがロッカー内をつらぬいて船底部に達している)、第一倉庫、船長公室、実習生居室、機械工作室、厨房
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日本丸の艤装・構造図  定規・雲形定規+ロットリングペン  掲載本よりスキャン。構造を見せるためセイルは透明に表現したところがミソ……とシャチョーは自慢しております。
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今回ペンを使ったことがきっかけで、なにかあったゾ…… と押入れの奥から掘り出しました。懐かしいナー。よく手が動いたんだナー。
現在、日本丸は横浜のランドマークタワー横に、姉妹船の海王丸は富山県射水市の富山新港に繋留してあり一般公開されている。両船とも船籍は現役として登録されているそうです。

スクラッチ&エッチング銅版画(ドライポイント&腐食凹版など)は古来より盛んなことにて珍しくない事ではあるが、PC時代の今日、非能率的で面倒くさい職人芸、いまや誰もやらないだろう…… と思っていた細密手作業に挑戦する美大の学生さんが大勢いらっしゃるのは、驚きであり、何となくウレシナミダがチョチョギレタ次第!

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by ky-shige | 2009-03-06 17:24 | ブックデザイン | Comments(2)
Commented by 寅吉 at 2009-03-07 18:37 x
こういう仕事の先に、あの素描があったのですね。
納得しました。

社長の歴史に、素描の極意のひとつを見た気がします。
Commented by ky-shige at 2009-03-07 22:56
仕事となれば、ポカもズルや手抜きも許されなかったわけで、
だから、引退した今は気楽に趣味で、描いたり休んだり、
慌てずやっていこうか……ということです。
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